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ガソリンスタンドの次世代型ビジネスモデル「エコロジーステーション」 油藤商事株式会社

ガソリンスタンドを経営する青山さん分別収集バイオディーゼル
記念すべき第1回のLOHAS企業取材は、滋賀県・豊郷町でガソリンスタンドを経営する青山さんを訪ねさせて頂きました。

そもそも11月6日に東京・浜松町で行われた「ライフスタイル見直しフォーラム」にフラフラと行った際、その中の課題別フォーラム 「スロービジネス~「いのち」を大切にする仕事」で前に座ってトークショーをされていた方でした。
「ガソリン売ってるGSが廃品回収・分別収集やります」という新鮮な発想にピンときて、トークショー後に早速取材をお願いしたのがきっかけでした。

 

インタビューをお読みいただく前に油藤商事(あぶらとうしょうじと読みます)さんが販売している「バイオディーゼル」というものについて事前になんなのかを理解しておきましょう。

ちょうど1年前の2003年10月1日から東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県で、トラックやバスなどディーゼルエンジンで走る車について、エンジンから出る排気ガスを削減する対策をとっていない車輌への取締りが始まりました。
みなさんはマフラーから黒い煙を吐きながら走るトラックやバスを見たことがあると思います。
このススはとても小さくて、人間の鼻・のどを通り越し、肺の奥まで入り込んでぜんぞく、もしくは肺がんなどの病気を引き起こします。(石原都知事がテレビでペットボトルに入った真っ黒なススを見せていましたね)
このディーゼルエンジンに使われる燃料=軽油、を廃食油(菜種、ひまわり、大豆、コーン油など)を原油として精製したものがバイオディーゼルと呼ばれるものです。

軽油を使うディーゼルエンジンに比べてガソリンエンジンはススが出にくいエンジンです。
ではなぜトラックやバスのディーゼルエンジンをガソリンエンジンに代えられないかというと、理由は2つ。
1 つは軽油の方が遠い距離まで走れて燃費がいい、燃料代が安いということ。
もう1つはパワーがある、ということです。
つまり重い重量を運ぶトラックやバスにはディーゼルエンジンの方が適しているわけですね。

油藤商事さんは明治30年から続く燃料屋さんで、青山さんは4代目だそうです。
21世紀にどんな取組みをしているのか、インタビューと写真でご紹介致します。

Q:       油藤商事さんは「ガソリンスタンドはまちのエコロジーステーション」をテーマにしていますが簡単にその企業コンセプトを教えて頂けますか?
A:     循環型社会の一役を担うのに、ただガソリンを販売するGSではなく、地域の拠点として各家庭からでるゴミを回収し、それを専門業者に引き渡す中継拠点としてGSは最適だと考えています。
地域のリサイクルを推進できるからというのも理由ですが、商売の面から考えても何のリスクも負いません。
逆の言い方をすれば、廃食油などのリサイクル可能なゴミを収集することで会社の売上げアップにつながっています。
例えば廃タイヤの回収には力を入れているんですが、いらなくなったタイヤの処分にはみなさんどこに持っていけばいいか困るはずですよね。
それを弊社で引き取ってホイールからタイヤをはずす脱着工賃を数百円頂く。
それを提携しているタイヤメーカーさんが回収する。なんのデメリットもありません。
廃タイヤを持ってきたお客様は次回タイヤ購入を検討される際に私どもを購入先の候補に入れてくれて、しかもその順位は高くなるはずだと考えています。 
つまりこれも営業活動といえば営業活動なんですよ。

Q:     なるほど。東京のとある場所のコンビニでは店舗前に置いてある分別用の容器に"きちんと分別してください。マナーがなさすぎます!"という怒りの紙が貼ってありました(笑)。
いつもスタッフがいらっしゃるガソリンスタンドで回収してくれると、そういう事はなさそうですね。
A:     資源ごみをGSが回収しても当社スタッフの負担にならないばかりか、人間の目で見ていますから、東京のコンビニの"無人分別容器"とは違って、分別マナーも自然とよくなりますね。
それから普段石油類を扱っていて汚れに対する抵抗もないですから、ガソリン給油していただく際に、廃食油、ゴミ、乾電池、牛乳パックなどを持ち込んでいただいても全然苦にはならないわけです。

Q:     廃食油燃料「バイオディーゼル」って何ですか?
廃食油って自治体が回収するものではないんですか?
A:     廃食油の回収は本来行政の回収義務であるはずが、まだ発展途上で十分なサービスはいき渡っていません。 
家庭ででる廃食油を数ヶ月に1回しか回収してくれない地域があるとすれば、それだったらいつでも持ち込めるガソリンスタンドに持っていこう、となるわけですね。
我々GSで回収すれば、一般家庭から川に流れることはないわけです。
GSは最低2名の危険物取扱免状を持っている人を置かなければいけないんですが、弊社では全員免状を持っています。
つまり取り扱いに関しても全員が知識を持っています。
こうして地域・家庭から回収した廃食油をメタノールでエステル化してグリセリンを分離除去し、動粘度を軽油の2倍程度まで下げた液体燃料がバイオディーゼル燃料です。
2002年の初めから一般車輌への給油を行っています。これは滋賀県下のGSでは初、全国では2番目の事でした。
現在では訪問介護車輌やデイサービス送迎車、訪問入浴車などの福祉関連の車輌、また定期路線バスにも定期給油しています。

Q:     ディーゼル車両用ということは軽油に似ているんですよね。
今1都3県は、某大手商社の排ガス浄化装置(DPF)の性能虚偽の事がニュースにも取り上げられていますが、体に悪いススはでないんですか?
ディーゼルっていうとマフラーからでる真っ黒な不完全燃焼したススをイメージするので悪い印象しかないんですが。
A:     "バイオ"とついていますから植物性なんです。
菜種、ひまわり、大豆、コーン油などの植物性廃食油を原油とします。
これにより真っ黒のススはほとんどでません。

Q:     まさに「廃棄物リサイクル」なんですね。さすがはエコロジーステーション。
ついでにGSというと洗車もつきものですが、洗剤がいつも気になっています。
青山さんのところは洗車機の横に「エコ洗車」って書いてありますが、これは何ですか?
イオン水とは違うのかな??
A:     イオン水とは違います。
イオン水というのは"洗剤が少なくて落ちる"というもので、根本的にその洗剤を使うこと自体が違います。
通常GSでの洗車に使われるのは合成洗剤です。
合成洗剤はGSに設置が義務付けられている油水分離層を経由しても、水分中に含まれた洗剤は処理されずに下水や河川に流れていってしまいます。 これに対してエコ洗車に使われるのは「リサイクル液体石鹸」というもので、植物性です。
地域の皆様から回収した廃てんぷら油から加工して作られた石鹸で、植物性ですからバクテリアの餌にもなって、河川を浄化してくれる効果もあるわけです。
地域の皆様にリサイクルする還元型のモデルとしてはバイオディーゼルと一緒ですね。

Q:     家庭用の廃てんぷら油が洗剤と混ざって台所から流れて、それが川に流れるということは素人の私が考えてもかな~りリサイクル率が低いものだとわかります。
それをきれいな水にもどすのにはどのくらいの時間が必要なのか・・・と考えたとき、青山さんが行っている「廃てんぷら油もGSで回収して、それをまた地域の皆様に還元する」というやり方は本当に理想的です。
こういう取組みを行っているGSは私の住んでいる東京都内にありますか?
A:     もしあったとしても数件ではないでしょうか。 
未だ都内での弊社のような取組みをしているGSさんは存じ上げません。

Q:     普及に何か妨げがあるんでしょうか?
いいことづくしなのに、車の数と給油回数がダントツに多い東京都内に油藤商事さんのようなGSがないのは何故だと思いますか?
A:     1つ言える事は、いままで石油というエネルギーは黙っていても売れていた商売なわけですね。
だからチャレンジする必要も、発想の転換をする必要もなかったわけです。
もう1つは元売メーカーさんが腰を上げていない、ということも大きいと思います。
コストがかるんじゃないか、とか、手間がかかるんじゃないか、とか思っておられるのでしょうね。
元売メーカーさんがもし腰をあげて本格的に既存のGSをエコロジーステーションとして展開していけば、全国に5万2千あると言われているGSへの普及もそう遠くはないとは思います。
が実際にはIT業界のように革新的ではない業界ですから時間はかかるかもしれません。
私としてはあくまでも1つのモデルとしてご提案していますので、もしこのコンセプトに賛同して1つでも多くのGSさんが取り組んでくれたなら本望です。

Q:     最後に5年後、2010年には会社事業も地域社会もこうなっていたらいいなあ、と青山さんが思い描かれているイメージを聞かせていただけますか?
A:     今あるもの、既存のインフラを使ってリサイクルシステムを作れば社会のシステムが変わると思います。
高い開発費をかけてリサイクルする機械を作ることよりも環境にも社会生活にもコミュニケーションが生まれていいと考えます。
例えば新聞屋さんは普段新聞配達していますが、そのときに家の外に出しておいてもらった古新聞を回収することで、それがリサイクルされてまた契約者に還元されるようになれば、その契約者は他の新聞社に浮気しづらくなるでしょう。
町の電気屋さんは切れた電球・蛍光灯、小さな家電を店舗にもってきて頂いて回収すれば、そのお客様は新しい電球を買っていってくれるわけです。
このようにゴミや廃棄物回収を口コミ新規顧客開拓、来店動機などに活かすビジネス戦略はアリだと思っています。
私は今の時代に生まれて石油を販売して生計を立てていますが、10年後、30年後には世の中が今以上に「脱石油」になっていて、違うエネルギーを扱っているかもしれません。
しかしそのような時代になっても地域のエコロジーステーションとして事業を行っていけば、きっと受け入れられるのではないかと思っています。
滋賀県に住む住民として琵琶湖を汚したら自分に跳ね返ってくるわけです。
それぞれの地域に住む人がリサイクル(循環)型の社会生活が当たり前になってくれることを願ってやみません。
来年にはサラダ油から作られたバイオ燃料を使ったテーブルランプの販売を目論んでいます。
「まんまのあかり」というネーミングまで考えてあるんですが、まんまというのは「お母さん」「ご飯」「そのまんま」の3つの意味を込めてあります。
テーブル上にランプが灯っているレストランで食事をした時に、その卓上に「このランプの灯は当レストランの厨房ででたサラダ油をリサイクルしたバイオ燃料を使っています」なんて書いてあったらステキなレストランだなあ、と思いませんか?
一般家庭で使っていただいたらステキな家庭内循環型が成立します。
地元の信楽焼陶器とセットで普及してくれたらいいなあ、と来年期待しています。

編集後記
資源エネルギー庁長官賞、日本環境経営大賞、など数々の賞を受賞しており、また全国からたくさんの視察・取材があってとても忙しいはずなのに、浜松町で「私にできることなら何でもおっしゃってください」と取材を快諾頂き本当にありがとうございました。
私自身とても勉強させていただき、やはり一事業主として「身近にできることから始める」ということの大切さを教えて頂きました。
青山さんが行っている今の取組みは "どこのGSでも簡単にできますよ" とおっしゃっていました。
この「油藤商事ビジネスモデル」が早く全国で拡がっていってくれることを願って編集後記と致します。

プラント内バイオディーゼルエコ洗車テーブルランプテーブルランプ

リンク
油藤商事株式会社 ・・・ http://www.aburatou.co.jp/
日本環境経営大賞記事 ・・・
http://www.eco.pref.mie.jp/kigyou/taisyou/html/no1_dendo/aburatou.htm

関係会社
有限会社エルフ ・・・ http://www.biwacity.com/elf/
(廃食油燃料製造装置、廃食油リサイクルせっけん製造機などを製造販売しています)
TMエルデ株式会社 ・・・ http://www.tm-erde.co.jp/
(空き容器回収システム、小型バイオ燃料製造装置などを販売しています)

■取材した人:犬飼俊介
■取材された人:青山裕史さん